
オレの仕事は水先案内人。英語ではパイロットと言う。 ええ?パイロットって飛行機の・・・ちゃうちゃう、アレは「飛行機のパイロット」。オレたちはただの「パイロット」。 だって、飛行機ができる前からこの仕事をする人がいたんだぜ。当然にオレたちが先!でも、飛行機のパイロットと間違えられるのは光栄だ。 オレ達の仕事の実態はそれと随分違う。油に汚れた帽子を被り、軍手をして分厚い安全靴を穿き縄梯子を登る体力勝負のどんくさい職人なのだ。
今朝、小さな客船が金沢港に入港する際の水先案内の仕事が入った。写真は金沢沖でその船(Spirit of Oceanus)に乗り移ろうとする直前のものだけど、見えるかな、小さく黒いものがぶら下がっているのを。それがオレの登る縄梯子。
こんな小さな客船(4000トン)からは、普通は仕事が来ない。 客船は操縦性能が良いので、どうにでも操ることができるからだ。 しかもこの客船は一月に一度ほど金沢港に入港している。 水先案内は必要ないだろうに。 乗船して船長にそのことを聞いたら、交代して初めてだから、安全のために呼んだとのこと。 船長さん、ありがとう。
乗船したら、その船の操縦性能を質問する。 オレたちの仕事の慣習である。 それに応えて船長は「she is・・・」と言う。 オオ!!久しぶりに聞くキングズイングリッシュであった。 そうなんだ、船は優しく扱うため、女性名詞で「she・・・」と言うのが慣習であるが、最近は「the ship・・・」と他人行儀に言う人が増えてきている。

船内はきれいだ。 通路の床は分厚い絨毯、壁は全てニス塗りでピカピカ。
お客さんはほとんどが中年・老年のアメリカ人、総勢116人の客が乗っているという。
それを接待する乗組員は70名、メイドのほとんどがフイリッピン人であるそうな。 新潟から金沢に着いたこの船、このあと、境港、萩と日本海を周り、韓国のウルサンに行く、そして、長崎に戻り、そのあと瀬戸内海の港を転々と観光しながら神戸にゆくという。
100人程度の客であれば、全員がフレンドリーになれる。 狭い船内で過ごすため、乗組員も含めてお互いの心の通い合いを共有できるであろう。
大きな客船も良いが、貧乏且つ礼儀知らず なオレは気後れする。こういう船ならオレも乗ってみたい。日本と韓国を見て周るこのコース、何日のターンであろうか。 はっきり知らないが、料金を聞いてみた。
平均で一人7000ドルという。 思わず、”安い”と思った。
であるが、オレには遠い遠い遊びである。