新造船の最初の航海を 英語では、Virgin voyage (バージンボヤージ)、日本語では「処女航海」という。
なんともなまめかしい言葉であるが、「the virgin」 は 「聖母マリア」のことだそうだから、そんな風に思うオレがイヤらしいということであろう。
言っておくが、船は女性名詞である。
台風を女性の名前で名づけるが、それと同じく「優しくあって欲しい」という意味から、女性名詞としてきた歴史がある。
だから、「この船は・・・」と、喋るとき、「this ship is ・・・・」 とも言うが、「she is・・・・」と言う方がしゃれていて、英語(king's english)らしく聞こえるのだ。
前置きが長くなったが、今般12年ぶりに七尾港に処女航海の船が入港した。
韓国の現代造船所で造られた、クエートの国有会社の船で、長さ225m ・載貨重量8万トン。 ペルシャ湾から液化プロパンガスを運んでくる。
右上の写真は、専門用語でブリッジコンソルと言う。 各機器の配列のこと、首をぐるりとひねると全てのデータが眼に入ってくる。 最近の船は殆どがこのような造りになってきている。
我々は目で見て耳で聞いて肌で感じる自然の力や動きを判断して操船する。 このように全てのデータが数量化されるのには閉口するが、デジタル化への時代の流れであり、これはこれで取り入れている。
左上の写真は桟橋に停泊している船。
山の裾と手前の黒いタンクの間に小さく緑色のタンクが見えるが、これがプロパンガスの国家備蓄。 日本での国家備蓄の先頭を走って備蓄が進んでいる。
右の写真は船長と私。 船長は会社きってのベテラン船長で私とは10年を超えるつきあい。
物腰の柔らかい英国紳士である。