もう5年ほど通っているムルタサリビーチのワルン。
去年の7月、主人のキオエルが病気になった。
でも、ワルンを閉める訳にいかない。
キオエルの奥さんが勤めを辞め代わりにワルンを継いでいる。
二人で稼いでいたのが今は一人分しか収入がないことになる。
おまけに治療費がかかる。
夫婦には中学生の女の子がいる。
少しだが教育費がかかる。
一家にとって徹底的に生活費が足りない。
3ヶ月前に相談を受けた。
少しお金を貸してくれないか。
バリ人にお金を貸しても返って来ない。
また簡単に貸してそれが癖になると良くない。
私は言った。
「嫌だ!」
「でも朝食の前払いならできる」
毎日通うこのワルン。
私たちは大体200円使う。
「今日から15日間....」
「お金を払わないということなら今3000円払う。」
「15日間分の前払いだ。」
キオエルの奥さんは条件を呑んだ。
で、始まった....朝のコーヒーとサティの前払いシステム...
最初の15日が終わると次の15日の前払いを頼まれる。
というのが既に4回続いている(笑)。
明後日、その4回目の期限が終わる。
奥さんは、多分、次の前払いを頼んでくるだろう。
実は、15日間前払いしても、毎日通う訳ではない。
時々は他の店に行く。
規則は回数ではなく期日で期限を切っている。
ということは前払い金が持ち出しになる。
でも、それは行かない自分が悪いのだ。
私の責任だ。
明後日は次の15日分の前払い金を払うつもりで行く。
亭主のキオエルの病気が治るまでずーと、この変な約束(笑)を...
続けることになろう。
貧しいからと言ってお金を貸したりあげたりするのは良くない。
それが癖になると立ちあがれないからだ。
私の場合は、単なる前払いだ。
悪いことをしているとは思わない。
それよりも感謝されることが嬉しい。
写真中央がキオエルの奥さん。
私なんぞ....
日本だと他人から助けを受ける存在だろう。
なのに、ここバリでは、反対に人助けができる。
まあ、ほんの少しだけど...
こんな心のふれあい、つくづくありがたいと思う。