「世界三大不安」の最初は「イラン不安」を書くことにしていたが、
今朝の新聞は、こぞって香港デモの話ばっかり....
で、ブログも中国の不安として「香港問題」を取り上げることにした。
先に私が想像する結論から書くと、.....
いずれ北京政府は香港市民への弾圧に踏み込むだろう。
理由は簡単、「弾圧せざるを得なくなる」からであり、
いつまでも香港警察に任せておけなくなるからであり、
香港行政長官の要請を受けた形での介入という形をとる。
ただ、弾圧の仕方だが、
軍隊を動員しての天安門事件の再来はないものと思う。
徐々に逮捕者を増やして、その者らの処分を厳罰にし、
香港市民に恐怖心を煽り服従させる方法を採ると思われる。
ということで、
今朝の新聞の写真を織り込みながら、話をする。
まずはデモ隊は何を訴えているかであるが、四つある。
1、林鄭月娥(キャリー・ラム)香港行政長官の辞任。
2、逮捕者の釈放。
3、逃亡犯条例の完全廃棄。
4、行政長官の直接選挙。
この要求の中で最も難しいのは「行政長官の直接選挙」だ。
なぜなら、憲法(香港基準法)の改正が必要になるからだ。
憲法改正には北京政府の同意が必要である。
そういう改正案を北京政府が呑む訳がない。
現在、香港の行政長官だが、1200人の選挙委員が投票して
決めることになっている。
但しこの1200人は全て中国寄りの住民で構成されている。
さらに議会の議員もほとんどが中国寄りで構成されている。
唯一「香港民主党」という市民派がいるが、数が少ない。
先日、アメリカは中国に追加関税(10%)を決めた。
これで、中国からの全輸入品に関税がかかった。
その影響を受けて、中国の人民元が急落した。
アメリカはこの人民元の急落を為替操作だと攻めている。
これには、中国が怒った。
「G20」で新たな追加関税なしに協議を続けることを合意した。
なのに、上海での一回だけの協議のあと追加関税に踏み切った。
これって、約束違反だろうがと怒った。
てな訳で、現在、米中の貿易戦争はさらに過熱している。
それらは、香港デモと全く無縁ではない。
香港デモに関しての....
香港政府、北京政府、米国議会の言い分を書いてみる。
(香港市民にたいする香港政府の恫喝)
1、香港政府は常時北京政府と連携している。
2、香港政府が要求すれば北京はすぐにでも介入してくる。
3、逮捕者の処分を急ぐ用意がある。
(アメリカに対する北京政府の言い分)
1、すでに90日以上デモが続いているが資金の出処があるはずだ。
2、アメリカのCIAが資金を出しているのではないのか。
3、今年の3月に「香港民主党」のマーテン・リーがアメリカに行った。
4、あれは、香港デモを起こす打ち合わせではなかったのか。
5、なぜなら、その後の5月からデモが始まったじゃないか。
6、追加関税と香港デモに時期的関連が感ぜられる。
7、アメリカは香港問題を利用して中国を攻めようとしている。
8、中国は、こんな理不尽なアメリカとは最後まで戦う。
(北京政府に対するアメリカの言い分)
1、香港デモは人民の蜂起であって起こるべくして起こった。
2、デモ隊に催涙ガスを使ったのは許せない。
3、アメリカは香港問題について今後も口先介入を続ける。
4、アメリカは香港に対して貿易の優遇措置をとってきた。
5、その優遇措置をなくす準備もしている。
6、香港政府の要人がアメリカに所有の資産を凍結する準備もある。
.........
つらつらと状況だけを書いたが、読んで見てお分かりかと思う。
香港問題は解決の道が見えない。
香港は50年の自治が認められる約束でイギリスから委譲された。
その50年までは、まだ25年も残っている。
それまでは中国の中の自治国家でなくてはならない。
それを死活問題として切実に願う香港市民と...
それを認めない北京政府とそれにおもねる香港政府....
の戦いの解決の道が見えない。
ということで、冒頭の結論になる。
いずれ北京政府が香港市民を弾圧する.....と思うのだ。
おっと、書き忘れた。
「中国の不安」に言及するんだった。
中国を「為替操作国」として指定した昨日の米国の声明は、
財務省からの公式声明である。
ということは、通貨、金融に関して、今後なんらかの制裁を
かける可能性がある。
いよいよアメリカは本気モードを出してきた。
行き場がなくなると、中国も暴れるかも知れない。
その時は「「中国の不安」が「中国からの不安」に変わる
かもしれないことを日本は知っておくべきだ。
即ち、
今日の香港........
明日の台湾........
明後日の沖縄.....
である。