不安の根っこには中国の戸籍制度がある。
中国の総人口は13億7千万人。全ての中国人は農民戸籍か都市戸籍のどちらかを持っている。この戸籍制度を作ったのは1950年の毛沢東の時代だ。私は国家として一つの制度は70年で疲弊すると書いてきた。この中国の戸籍制度も2020年で70年になる。そろそろ制度疲弊が始まっている。言葉通りになってきた。習近平もその疲弊を知っている。昨年から農民戸籍と都市戸籍を一本化しようと躍起になっている。だが人々の間に深く根付いてしまった制度なので改善が遅々として進まない。昨日のブログには中国にはストライキが多いことを書いた。特に危険なのは元人民解放軍だとも書いた。人民解放軍の出目はほとんどが農民戸籍である。中国共産党がもっとも怖がる民衆蜂起の根っこにはこの戸籍制度の制度疲弊がある。この戸籍制度が全面廃止になり統一化されない限り中国が国全体で発展することがない。
都市戸籍・農民戸籍とは....
1、都市戸籍は都市に住む人に与えられる。
2、それ以外は、農民戸籍である。
3、農民戸籍から都市戸籍への移行は通常はできない。
4、二つの間に青印戸籍というのもあるが特例であり数が少ない。
都市戸籍者の特権....
1、都市戸籍を持つ者は特権階級者である。
2、その特権階級者に食料を供給するのが農民戸籍者である。
3、都市戸籍者は学校に入りやすい(大学の合格点が違う)
4、都市戸籍者が就労すると給与が高く保険がある。
5、戸籍が違うと入る学校も違う。
過去に発展してきたのは農民工がいたから....
都市部人口約7.7億人
その内、都市戸籍を持つ者、約3.8億人
その内、農民戸籍を持つ者、約3.9億人(農民工という)
農民戸籍で農村に住む者、約6億人
1、中国は都市部だけ発展している。その都市部人口約7.7億人。
2、ということは7.7億人の人々で生産活動をやってきたということだ。
3、この7.7億人のうちの3.9億人が農民工....
4、その農民工の賃金が安いがゆえに世界の工場と言われ経済が発展した。
今後は今までのように発展することが難しい...
1、農民工の賃金が上がると生産単価が高くなり世界の工場から外れた。
2、輸出に頼らなければやってゆけないが輸出の国際競争力が落ちてきた。
3、かといって、内需の伸びる要素がない。
4、農民戸籍のいる農村が貧しいままだからだ。
5、一方で、農村が貧しいままでいることも必要だ。
6、都市は農民工を踏み台にして伸びて来た。
7、その踏み台もまだまだ必要だからだ。
8、踏み台が足枷になってきたがまだまだ必要でもある。
9、中国の労働・雇用形態はどっちつかずでうろうろしている。
農民工が農民戸籍のままでも良いと思い始めた理由...
昔は農民戸籍の者は全て都市戸籍を欲しかった。欲しくても叶わなかった。が最近は農民工の賃金もあがってきた。さらに条件が揃えば農民戸籍から都市戸籍に移行できるようになった。が、それほどに移行を希望する者が増えない。何故に昔と変わってきたのか。
1、何故なら、都市戸籍を持つには家を持たねばならない。
2、だが都市の家は値上がりして買えなくなった。
3、また都市戸籍を持つと農民戸籍を放棄しなければならない。
4、農民戸籍を放棄すると田舎に帰れなくなるのがそれも困る。
5、都市生活には大金が要るが田舎では少額でも生きてゆける。
6、その生きてゆける権利を放棄したくない。