ワルンのおばさんに尋ねる。
ここからサムに行けますか?
「行けるよ、あっちの方向だよ」
と、アグン山の左の丘の向こうを指さす。
どう行けばいいのですか?
「知らない、私は行ったことがない」
ここから2キロでしょう、行ったことがないのですか?
「近いことは知ってるよ、だけど行ったことがない」
でも、行けるのでしょう?
「ああ、行けるよ、男衆で行った人がいるよ」
車が通れるの?
「ああ、通れるらしいよ」
......
ん、まあ、行くしかない、と車を走らせた。
しばらく行くと、こんな立派な家があった。
家の前で休んでいる人に尋ねた。
サムに行けますか?
「ああ、行けるよ、突き当りを左に行けば良い」
「そのあと、橋を渡ったら、別れ道がある」
「良い道と悪い道があるが、悪い道の方に進め」
ええ、悪い道に行くのですか?
「そう、良い道を行けば、元に戻ってくるだけだ」
なんとなく、先が思いやられる。
でも、行くしかない。
運転はクルンクンを過ぎてからずーとエヴィに任せていた。
エヴィ、行くしかない.....と、オレはエヴィに発破をかけた。
んで、それからが大変。
悪い道は、過去に舗装されたことのない道だった。
獣道を少し広げただけ、草混じりの赤土が露出しており、
その赤土のところどころに、でっかい穴が空いて、
右のタイヤが、そのでっかい穴にはまったと思ったら、
次は、左のタイヤが次のでっかい穴にはまり、
常時どちらかに傾きながらを走ることに....
余りにも揺れるので、写真も撮れない。
サム部落......もしこの先にあるとすれば、
まさに、陸の孤島だ。
どれだけ走っただろうか。
長い時間じゃないが、大変な時間だった。
突然に、道路が開け、
右の崖の下に、家があり、
道を隔てて、左の崖の下に、こういう人たちがいた。
ここはサムですか?
「そうだよ」
おお!とうとう、サム部落に来たのだ!!