昨日は、マラッカ海峡を書きました。
当時、それを読んだ方(MLの会員)から次の質問がありました。
ところで先便でマラッカ海峡の海賊の話が出ましたが、
わざわざ海賊の出る海を航海しないで、
中東から日本に石油を 運ぶ航路は?
かなりロスになるのでしょうか?
この質問に対して
当時、次のように返答しております。
海賊について
マラッカ海峡に何故に海賊が多いのかの一つの原因に
マラッカ海峡はマレーシア・シンガポール・インドネシアの
の3国が隣接しており、お互いに牽制しあって、
強硬な対抗策を講じにくいことがあります。
海賊はその弱点をついてくるのです。
そういう点からは、海賊を避ける為に、
マラッカ海峡以外を通る方法を思いつくかも知れませんが、
海賊はインドネシアの周辺であれば、何処でも出るのです。
他のルートに集中しても、
海賊は簡単に「遠距離出張」しますので、
それほどの意味がないものと思います。
他のルートについて
マラッカ海峡の中ほどと、東への出口付近に浅瀬があり、
マラッカ海峡を通過する船の喫水が制限されます。
船型(船に大きさ)が制限されるということです。
それに対してスマトラ島の南を通り、
インドネシアの島々を北上する次のルートがあります。
1、 スマトラ島とジャワ島の間のスンダ海峡
2、 バリ島の東のロンボク海峡
これらの海峡はマラッカ海峡よりも水深が深いので、
大きな船が航行できます。
したがって、
A 大きな船で大量の貨物を運ぶメリット
B 航行距離が伸びるデメリット
C 大きな船で運んでも、そんな大きな船では、
日本の港で入港できる港が限られるデメリット
を考えて(海賊への考慮は検討外)ルートが検討されますが、
現在も中東と日本のルートとして、
依然マラッカ海峡を利用しているということは、
他ルートよりも経済的メリットがあるということでしょう。
但し、中東からではなく、
南アフリカ南端の喜望峰から日本に来る大型船は、
スンダ海峡、あるいはロンボク海峡を経由することが多くあります。
その後双方ともボルネオ島とセレベス島の間のマカッサル海峡を経て、
セレベス海に出るルートが一般的です。
.........
と、返答したことが昔のメモに残っております。
今読んでみると、少し正確さに欠けるので、追加します。
カリマンタン島とセレベス島の間のマカッサル海峡ですが、
そこを通るのが一般的と書いています。
今読むと、一般的と言い切ったことに後悔があります。
航路の選定には、次を考慮するとの注釈が必要でした。
マカッサル海峡は、地図上では広いのですが、
海底は岩場で暗礁が多く、大型船(10万トン以上)での、
安全な航行域としての水路幅も水深も限られるので、
航路の選定及び船位の確認は慎重でなければなりません。