あけっぴろげてあらいざらいのあるがまま



韓国船転覆の真相その4(転舵初動時の船の動き)

余り語られていないということを書いた。
勿論、専門書にも書かれていない。
何故に語られないのか。
そういう場面に遭遇することが少ないからだ。

要するに.....
傾いた船がなかなか戻ってこないこと.....
すなわち、
傾いた状態がながーーーいこと。
通常はながーーくなんてないから理論されてこなかったのだ。
が、ながいがゆえに見逃すことができないことが起る。
その間の力が解析されてない。

ながーーい、と言ったって、せいぜい20~30秒のことだ。
さて、この間の船にかかる力をオレ流に解析する。
それが今回の急旋回の正体と思えるからだ。

語られないことは、大きく次の二つある。

1、転心点の前方移動による影響
2、船の横ずれによる影響

韓国船転覆の真相その4(転舵初動時の船の動き)_d0083068_17295428.jpgひとつづつ書くことにする。

(転心点の前方移動による影響)

船が回頭する場合の中心点である。
船を上から投影した場合の重力の中心に近い。
通常はPと表記される。
pivoting point と呼ばれるからだ。
その位置は(図示のA)である。

このP点であるが、船が走り出すと前方の水を
押しながら進む抵抗で前方の見かけ重量が重くなり
P点は前に移動する(図示のB)

さらに、船が回頭する時、船は横に向くので、
その分、スピードがダウンする。
走っているものがスピードを落とすと、
どうなるかはお分かりですよね。
スピードダウンして加速度が変化している期間、
さらにP点は前につんのめる(図示のC)

さて、先に書いた遠心力に話を戻す。
遠心力は重量の中心にかかると省略して書いたが、
事実はこのP点を中心に船の前と後にかかる。
P点が前に移動したら、船尾の方の梃子が長くなる。
ということは、偶力として船尾を回頭の外の方にほおり出す力が大きくなる。
ということは、船首が回頭圏の内側に入り込むということでもある。
即ち、旋回を加速させるということになる。
これが、急激旋回の理由の一部である。

一部と書いたのは、全部でないからだ。
これに至る理由がある。
韓国船転覆の真相その4(転舵初動時の船の動き)_d0083068_17405032.jpg外側傾斜がながーい、
という理由からだ。

外側傾斜がながーいと
影響をながーく受ける。
その影響とは右の図示のとおり、
水の抵抗が増すという影響である。
傾いたことにより浸水面積が
増えるからである。

抵抗が増えると、
船は、その分早くスピードダウンする。

余計(急激)にスピードダウンするということは、
余計にP点を前方に移動させることになる。
P点が前に移動するということは、前述同様に旋回をあと押しすることになる。
こうした二つの相乗効果で船は急旋回する。


(船の横ずれによる影響)

さて、船が急旋回すると、どうなるかだが、
船は前方に進みながら、また回頭方向にも進みながら、少々横滑りする。
遠心力が生まれる前のそれまで直進してきた慣性力があるからだ。
直進の慣性を持ちながら回頭すると、船は横滑りしながら回頭する。
まあ、当たり前であることは、わかっていただけると思う。

で、横ずれしたあと空虚になった空間には、
海水がその空間を埋めようと、どーと入り込んでくる。
要するに横ずれ中は、海水も引き連れて横滑りするのだ。
この数値は、結構に大きい。
一万トンの排水量の船は、一万トンの海水を引き連れて、
計2万トンの力で横ずれすると言っても大げさではない。

この一万トンの力、
勿論90度の横ずれではないので、まあ、その10%ほどだろうが、やはり大きい力だ。
この大きい力がP点が前に移動し梃子が長くなった船尾部を押す偶力となる。

この偶力は、当然に旋回を助長させることになる。
これも急旋回に至る理由のひとつなのだ。

この力は、私はその程度を計算できない。
多分、実験値を含めた係数を利用して計算されるだろう。
ただ、船の操船中に横移動してしまった船、即ち横滑りを始めた船を停止させるには、
相当の力が必要なことは、水先案内の業務の経験の中から知っている。
で、相当に大きい数値になるだろうと想像できる。
by yosaku60 | 2014-04-25 17:52 | 日本=知ったかぶりです | Comments(0)
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常時ほろ酔い候

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