あけっぴろげてあらいざらいのあるがまま



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柳川宗成物語(その18: 日本人の島国根性)

ペタでは、七百人ほどの日本人指導官がいて、インドネシア人青年を指導した。
両者の間には、当時の占領者と被占領者の関係を越えた深い人間関係が築かれていた。
それなのに、そういう風潮が何故に日本軍全体に広まらなかったのか。

私は、義勇軍指導部の山崎大尉の次の言葉に共感する。
山崎大尉は第十六軍から出向という形で義勇軍教育隊に関わっていた。
柳川の上官であった。
上官であったが、柳川を信頼し全てを任せる、という人格者であった。

戦後、その彼が言った。

我々は、英軍兵士のインドネシア人将校に対する態度をまざまざと見せつけられた。
英軍兵士のインド人将校に対する敬礼の厳粛さよ。
この時こそ《我敗れたり》と、しみじみ感じさせれずにおられなかった。

どういうことかというと、戦時中、日本軍にも内務規定というのがあった。
その規定には、日本軍の下士官・兵は、義勇軍上級幹部に敬礼すべし、とあった。
ところが日本軍の誰もがそれを守らなかった。
山崎は、日本軍の《さもしさ》を嘆いたのだ。
山崎は、その日本人の意識を掘り下げ、さらに書いている。

明治開国以来、列強に俉してゆくために当時の政府がとった教育政策、
すなわちアジア諸民族を低くみることによって、
相対的に自民族が優れたものであると認識させる.......
誤った優越感を持たせることにある。 
日本人には、多民族の言語、風俗、習慣を異なるものとし、自国の方が良いとする。
極端にいえば、相手を認めたがらない、島国根性がある。

私は、今バリ島に住んでいる。
住んでもう十年になる。
バリ島には三千人の日本人が定住している。
今も山崎大尉の言う日本人の島国根性が周囲に散見する。
いや、私自身が時にそうなる。
思い当たることが多い。
なんと恥ずかしいことか。
自分への警鐘として聞いておきたい。

by yosaku60 | 2017-04-26 08:39 | Comments(2)

柳川宗成物語(その17; スハルト語る)

自らもペタの中団長であった経験を持つ大統領は、こう答えた。

インドネシアが独立宣言をしたのは一九四五年八月十七日である。
一方、日本軍によってペタの解散が行われたのは、その後の八月一九日である。
独立にあたり日本軍から譲り受けた軍事力は何一つ存在しない。
独立戦争に参加したペタの将兵たちは、
インドネシア共和国の人民治安本部の招集に参加したのであって義勇軍として参加したわけではない。
当時の日本軍はファシストの軍隊であった。
インドネシアがその創造物であるかのごとき見解は認められないし、断じてそのようなことはない。
インドネシアは日本に独立を与えられたのではない。
しかしながら、精神鍛錬の基礎、これこそが実際は、我々の闘争の最高の資本となった。
我々に国家と民族のために全てを犠牲にする覚悟を目覚めさせた。
そこから人民治安軍が組織され、遂にはインドネシア国軍となった。
我々がペタから受け継がねばならないのは、その精神と気迫である。

このスハルトの談話を要約するとこうなる。

ペタは日本軍が作った組織だ。
独立戦争に貢献したのは、ペタではない。
人民治安本部だ。
人民治安本部にペタの卒業生が多かっただけだ。
ペタの卒業生は、鍛錬から得た戦う強い精神力を持っていた。
その気迫が、独立に貢献した。
と、語っている。

要するに、語りの最後でペタの貢献を認めているのだ。
スハルトの日本軍政感は、必ずしも日本や日本人に好意的ではなかった。

日本軍のインドネシア占領はアジアの解放ではなく日本自身のためだった。
と、明言している。

が、ペタの日本人指導官につては好意的に見ている。
スハルトは、「私の履歴書」という自伝を残している。
その中で、次を書いている。

日本軍のインドネシア占領は、日本自身のためだった。
我々がそんな日本軍に協力したのは、独立のためだった。
ペタの日本人指導官は、それを解って、我々を指導してくれた。
ペタの訓練は想像を絶していた。
朝の五時半から夜遅くまで軍事教練、理論、精神教育が続き、
仲間の一人がたるんでいると全員が夜中まで正座させられた。
相撲もやった。
五回勝つまでやめられず、きゃしゃな私は辛い思いをした。
《駆けろ、駆けろ》の朝の走行訓練での指導官の掛け声は今も耳に残っている。
私が当時を語る時の用語は、今も日本語である。
私の指導教官だった土屋競大尉も上官の柳川宗成も厳しい軍人精神の持ち主だったが、
彼らは、独立に向ける我々の気持ちを汲んでくれていた。

by yosaku60 | 2017-04-25 07:24 | Comments(0)


常時ほろ酔い候
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