魚市場の仲買人をしている知り合いからコウバコ蟹を頂いた。
コウバコ蟹は、香箱蟹とも甲箱蟹とも書かれる。但し、コウバコ蟹と呼ぶのは金沢近辺だけで、関西ではセイコ蟹、山陰ではセコ蟹と呼ばれる。 背中に子を持つからだと聞いているが、腹に子がいるのだから、命名の意味良くわからない。
コウバコ蟹はズワイ蟹のメスのことである。 メスだから大事にされ、2ヶ月しか漁が許されない。 甲羅の中に卵になる前の「内子」が入っており珍味とされる。 甲羅の外の卵である「外子」の食感もなかなかで、通はズワイ蟹よりもコウバコ蟹の方が美味しいという。
オスのズワイ蟹も産地によって、名前が変わる。 金沢ではズワイ蟹、福井では越前蟹、山陰では、松葉蟹と呼ばれる。
蟹の名前はややこしい。 塀のない海中にいる蟹は、こんな名前の塀を知っているだろうか。
「おい、仲間のセイコやい、ここからはコウバコだよ」なんて、言いながら海の底を横ばいしながら、ヨイショっと福井、石川の県境の塀を越える・・・てなことはないよな。