パナマ運河を太平洋から大西洋に抜けるときの方向であるが、
西から東に抜けると思っている人が多い。
ではない、図のとおり南から北に、そして若干ではあるが東か
ら西に抜ける。 パナマの国がS字型になっているからだ。
その細長い陸地の中央にガツン湖がある。
パナマ運河を作るための人造湖、要するにダムと思って良い。
太平洋とガツン湖の高低差は26m、そこを船が上り下りする。
太平洋からガツン湖に上り、そこから大西洋に下りるという訳だ。 そのための閘門を作っている。
閘門は太平洋側も大西洋側も3個づつ、ひとつの閘門で約8mづつ上り下りすることになる。
閘門の仕組みは下図のとおり。 バルブを開けてベーシンの中に水を送り込む。 ポンプは使わない。 水位の高低差による水圧のみを利用する。 やがて水は湖と同じ高さになる。 そうするとゲートを開ける。 そして船は湖の中に進む、というわけだ。
船を通すたびに、湖の水を海に放出する。 雨の多い土地柄だからできる芸当である。
こうした閘門を利用した港が多いヨーロッパの海岸国は、古くから閘門の技術を持っていた。
で、パナマ運河の開発は、フランス主導(1880年)で始められた。 が、資金難で断念し、アメリカが受け継いで成功させた歴史を持つ。 100年以上の昔、このような大工事を成功させたこと、通行のたびに驚きを覚える(つづく)。