あけっぴろげてあらいざらいのあるがまま



バリ島の地形(その9;ングラライ軍ー7)

パングジャラン村の戦い その1


どこを歩いても親蘭派ばかりだ。

メラプティ派の村がなくなった。

ングラライは、メラプティ派を求めて山へ山へと入った。


スルルン村辺りに来た時だった。

道端に二人の男が腰を落として座っていた。

よく見ると二人とも眠っていた。

「おじさん、ちょっと話があるのだけど」

起こされた二人は、ングラライ隊を見て飛び跳ねて逃げた。

その様子を見て、すぐに理解できた。

彼らは、ングラライ隊が来るのを見張っていたのだ。

ここにも山のオランダ人がいた。

至る所が親蘭派になっている。

明日は、ここにオランダ軍が来るだろう。

ングラライは先を急いだ。

一夜を通して歩き、パングジャラン村に着いた。

人里離れた小さな村である。

が、村にはすぐに入らなかった。

川を挟んだ対岸の森の中に隠れた。

川の水は澄んでいた。

隊員は体を洗い、衣服までも洗濯した。

蚤退治の新しい方法も見つけた。

衣服を石の上に広げる。

丸い平らな石で衣服を押しながらこする。

すると、蚤がプチプチと音をたててつぶれるのだ。

隊員は久しぶりにくつろいだ。

カランガッサムのサム部落を思い出した。

ひとつ違うのは、火を使えなかったことだ。

サム部落は火を使っても通報されることはなかった。

が、ここで火を使うことの安全性は確認されていなかった。

野生のものでも火を使わないと食べられないものがある。

火を使っても大丈夫だろうか。

パングジャラン村にもスパイがいるだろうか。

ングラライは、それらを確認するための斥候を出した。

斥候が帰ってきた。

村民はメラプティ派でもなければ親蘭派でもない。

そうしたことに村民は無縁に過ごしている。

ということであった。


(現在のパングジャランの村;昔と変わってないという)

d0083068_08000415.jpg


ングラライ隊は、村に入って行った。

この村には、トウモロコシがいっぱいあった。

食べてもいいですか、と聞くと、

「どうぞ、どうぞ」の返事が返ってきた。

隊員は、村のあちこちに分かれて休息した。

その晩は、みながゆっくり眠れた。


翌日であった。

みんなが寝ている小屋の上に鳥が飛んできた。

そして、やかましいほどに鳴いた。

隊員は、知っていた。

鳥が来て鳴くとオランダ兵が来る。

その前触れに鳥が来て鳴く。

なんども、その鳥に助けられた。

もうすぐ、オランダ兵がここに来る。

ングラライに知らせねばならない。

ングラライの寝ている家までは遠い。


すぐに伝令が走った。

知らせを受けたングラライは、すぐに斥候を出した。

その斥候を待ったために、臨戦準備が遅れた。

斥候が帰って来た時、敵は北東方向二キロに来ていた。

敵はトラックに乗っていた。

ングラライは、すぐに全軍迎撃態勢を命令した。

隊員は、走ずり回った。


その時だった。

南の方角、わずか三〇メートルから銃声が聞こえた。

タッタッタッタッ

あきらかに自動小銃の音である。

準備が遅れた。

誰もがパニックになった。

そんな時、報告があった。


歩哨に立っていた二人が一〇メートルの至近から撃たれた。

「撃たれたのは誰だ」ピンダが聞いた。

「イ・グデとデワ・ウィです」の答えが返ってきた。

敵は、北東と南から来ている。

西方向は、険しい谷底になっている。

西に逃げるしか道がない。

が、そうしたことは、オランダ軍はすでに知っているだろう。

西の崖の手前に待伏せているに違いない。

ただし、手薄であろうから、その囲いを突破するしかない。


と、思った時だった。


by yosaku60 | 2017-07-02 07:58 | バリ島での独立戦争 | Comments(0)
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