あけっぴろげてあらいざらいのあるがまま



ドミニカからの密航者(まえがき)

私の昔の職業は、「船乗り」。
航海士、船長、パイロット(水先案内人)と歩んだ。
その中で、思い出深いのは、やはり船長時代。
中でも、記憶に残るのは、「密航者」。

7年の船長時代に、3回も密航者に踏み込まれた。
自慢にならない、恥ずかしいことだ。
というのは、港を出る前に、密航者サーチをする。
その時に発見できなかったということだから....
船長の職務怠慢である。

が、ちょっと、言い訳しておきたい。
一万トン級以上の船は、相当に大きい。
隠れるところはいっぱいある。
向こう(密航者)は、見つからないように真剣だ。
真剣に隠れているものを探すのは、難しいのが実体だ。

密航者防止に成功した経験だが....
エクアドル、アメリカ、日本を往復するバナナ船に乗っていた時だ。
エクアドルから、アメリカへの密航者は多い。
それにバナナ船は、換気を良くするため、少々隙間を空けてパレットを積む。
隙間があるので、隠れるところがいっぱいある。
で、私の船は、わざと噂を流していた。
「日本人船長は、出港後必ず消火訓練をする」
「消化訓練の際は、船倉内にガスを充満させる」
「船倉内に隠れていたら死んでしまう」
定期船だったので、3か月に一度はエクアドルに行った。
が、噂が広まっていたのだろう。
エクアドルからの密航者は、私の船に乗って来なかった。

まあ、こんな風にして、
密航者に踏み込まれないように努力するのだが、
それでもやられてしまう。

最初の経験は、アフリカのコートジボアールからだった。
威嚇すると震える、気の弱い、黒人青年だった。
次の寄港地がキューバだった。
私は、経験がない国だ。
社会主義国に面倒を持ち込むのは面倒だ。
と、悩んでいたところ、寄港地がオランダに変更された。
冷凍船は世界の市価の都合でこうした変更はよくある。
ほっとした。
本人がパスポートを持っていたので、
割と簡単に送還手続きができた。

2回目は、ドミニカ共和国からの青年二人だった。
次の寄港地は、ブラジル諸港だった。
この二人の処理が大変だった。

3回目は、ベルギーからの密航者で、中年の二人だった。
ひとりがルーマニア人、もうひとりがハンガリー人だった。
ルーマニア人の方、貧乏で食べれないといいながら、ぶくぶく太っていた。
タバコを欲しいとほざいてきた。
贅沢言うな、と怒って拒否した。
今、思っても、甘えたルーマニア人だった。
ハンガリー人は、まあまあ、真面目だった。
二人は「難民収容所」で知りあったとのこと。
難民収容所を「そーと」抜け出し、
私の船に「そーと」忍び込んできた。
そーと....が好きな男どもだ(腹が立つ)。
二人は、カナダに行きたいと思っていた。
私の船が、ハリファックス港行きと知って、忍び込んできたのだ。
二人とも、パスポートを持っていた。
カナダは、難民調査に慣れている。
カナダの官憲に処理を任せ、まあ、なんとかなった。
が、手続き費用、30万円....会社に迷惑をかけてしまった。

上に書いたように、2回目のドミニカからの密航者には、悩まされた。
当時、私は、「商船三井」に期間雇用で雇われた船長であった。
立場的責任上、丁寧に報告書を書いた覚えがある。

その報告書を「船長時代の思い出」として、明日から連載する。
報告書は、プロ(現場船長)からプロ(社内船長)に充てたものなので、
解りにくいことがあるかも知れない。
そういうところがあれば、「解説」を加えることにする。
by yosaku60 | 2017-03-04 10:12 | 日本=船員・船長時代 | Comments(2)
Commented at 2017-03-05 02:17 x
ブログの持ち主だけに見える非公開コメントです。
Commented by yosaku60 at 2017-03-07 09:07
shinjiさん。

お久しぶり。
元気そうで、良かったです。
<< ドミニカからの密航者(その1;... 可哀想なバリの女性.... >>


常時ほろ酔い候
カテゴリ
画像一覧
以前の記事
2017年 03月
2017年 02月
2017年 01月
2016年 12月
2016年 11月
2016年 10月
2016年 09月
2016年 08月
2016年 07月
2016年 06月
2016年 05月
2016年 04月
2016年 03月
2016年 02月
2016年 01月
2015年 12月
2015年 11月
2015年 10月
2015年 09月
2015年 08月
2015年 07月
2015年 06月
2015年 05月
2015年 04月
2015年 03月
2015年 02月
2015年 01月
2014年 12月
2014年 11月
2014年 09月
2014年 08月
2014年 07月
2014年 06月
2014年 05月
2014年 04月
2014年 03月
2014年 02月
2014年 01月
2013年 12月
2013年 11月
2013年 10月
2013年 09月
2013年 08月
2013年 07月
2013年 06月
2013年 05月
2013年 04月
2013年 03月
2013年 02月
2013年 01月
2012年 12月
2012年 11月
2012年 10月
2012年 09月
2012年 08月
2012年 07月
2012年 06月
2012年 04月
2012年 03月
2012年 02月
2012年 01月
2011年 12月
2011年 11月
2011年 10月
2011年 09月
2011年 08月
2011年 07月
2011年 06月
2011年 05月
2011年 04月
2011年 03月
2011年 02月
2011年 01月
2010年 12月
2010年 11月
2010年 10月
2010年 09月
2010年 08月
2010年 07月
2010年 06月
2010年 05月
2010年 04月
2010年 03月
2010年 02月
2010年 01月
2009年 12月
2009年 11月
2009年 10月
2009年 09月
2009年 08月
2009年 07月
2009年 06月
2009年 05月
2009年 04月
2009年 03月
2009年 02月
2009年 01月
2008年 12月
2008年 11月
2008年 10月
2008年 09月
2008年 08月
2008年 07月
2008年 06月
2008年 05月
2008年 04月
2008年 03月
2008年 02月
2008年 01月
2007年 12月
2007年 11月
2007年 10月
2007年 09月
2007年 08月
2007年 07月
2007年 06月
2007年 05月
2007年 04月
2007年 03月
2007年 02月
2007年 01月
2006年 12月
2006年 11月
2006年 10月
2006年 09月