欠落している歴史の理由、
言い換えれば、語られない歴史の理由だが、
誰も知らない訳ではない。
知る人ぞ知る....のである。
が、知る人の多くは部分的に知るだけ。
自分に関連した部分だけを知っている。
まとめて全部語れる人がいない。
かといえば、そうではない。
一人だけいる。
それが、パ・ジョコ(写真)だ。
(註) パ・ジョコというのは、バリ名ではない。
地下組織では、他から知れないように、偽名を使った。
バリ名は、I Made Wijakusuma である。
が、パ・ジョコは、何も語らない。
何故に語らないのか。
① 語らないことで押し通して来た過去の闘争歴
② 語ることにより争いが拡がることの回避
の二つの理由がある。
何故に語らないで押し通して来たのか....
ングラライ軍は、ゲリラ隊であった。
ゲリラ隊であるから隠れながら行動する。
隠れるゲリラ隊、言い換えれば地下に潜るゲリラ隊、
それよりもさらに地下の深いところの闘争部隊があった。
秘密のベールに囲まれた地下組織であった。
ある時は、地上のングラライ軍を助け、
ある時は、地下からングラライの行軍の指導をした。
その地下組織のリーダーがパ.ジョコだった。
彼の秘密への徹底ぶりは、ある例があるので後日語りたい。
もうひとつの、
語ることにより争いが拡がることの回避.....
ングラライが戦死した後の戦いの後日談、その手柄話、
いろいろの人がいろいろに語りはじめた。
自分の知らないことまで語りはじめた。
その数々の語りがいろいろな方向に拡がった。
当然に、それぞれが、つじつまが合わない。
そのうちに語りの主導権あらそいが起こった。
それらの者は、全部を知るのはパ・ジョコだと知っていた。
何故なら、ングラライ後のゲリラ軍のリーダーは、パ・ジョコだったからだ。
残った将校たちの話し合いの末、彼がリーダーに選ばれた。
彼の長い闘争歴から誰もがパ・ジョコの性格を熟知していた。
で、パ・ジョコは、何も語らないだろうことも分かっていた。
パ・ジョコも語ることにより、争いが拡がることを避けた。
ということで、
つじつまの合わない部分的な手柄話があるが、
信頼される真実である、まとまった歴史が抜けたのである。
彼の表に出ない行動の徹底ぶりは、ある例があるので後日語りたい。