「ヌサペニダで結婚式をするのですか?」
「そうです」
これだけの会話で写真を撮らせてもらった。
ヌサペニダ行きの連絡船を待つ花婿と花嫁。
瀬戸の花嫁ならぬ「ペニダの花嫁」だ。
ヌサペニダ島は、大きい島である。
当然に貸衣装屋さんはある。
なのに、どうして、
結婚式の衣装のままで連絡船に乗るのだろうか。
バリの結婚式だが、バリの習慣として、
まず最初に、お嫁さんの故郷のバンジャールに届け出なければならない。
お嫁さんがバンジャールから抜け出る許可をもらうのである。
書面でその許可をもらった後、簡単な結婚式がある。
許可をもらった二人は、
今度は、夫の故郷のバンジャールに出向き、
一家としてバンジャールに再加入の手続きをとり、
そこでは、正式に且つ盛大な結婚式を行う。
となっている。
この習慣をわかった上で、
花嫁花婿衣装のままで船に乗ろうとする二人を思ってみる。
1、二人は時間がないのであろう。
2、ヌサペニダに着いたら着替える時間もない。
3、だから、もう着替えているのだ。
4、ヌサペニダの連絡船は、日中しか走らない。
5、手荷物を持たない二人、今日中に本島に戻るように見える。
6、ってことは、簡単な結婚式だ。
7、ってことは、ヌサペニダは、お嫁さんの故郷ってことだ。
ってこと、深く長く考えたわけでない。
思考を文章に書くと長いが、瞬間に思ったことだ。
ということで、二人を見て、瞬間に、
「ヌサペニダはお嫁さんの故郷である」
と見抜けたオレ……イッチョマエにバリ通になったようだ。