あけっぴろげてあらいざらいのあるがまま



世界の海(その6)

16、アドリア海:「どうしてこんなに違うの?」

     左を見ればイタリア、右を見ればユーゴスラビアです。 
     入り口にアルバニアがありますが、
     貿易も少なく船乗にとっては縁のない国なので、
     目立たずに通り過ごしてしまいます。
  
     アルバニアは貧しい.....と、与作の船に乗ってきた,
     ルーマニア人の密航者が生意気にも言っていましたけど、
     与作は知りません。

     イタリアの女性....時々顔全体が「鼻」の女性がいます。
     
     イタリア女性を想うと、
     どうしても「鼻」がイメージされ、
     可愛くありません。

     それに比べ、アドリア海の対岸の、
     ユーゴスラビアの女性...なんて美しいのでしょう。
     街を歩いていても出会うのは美人ばかりです。
     美人でない人はいません。
     
           
     後日、ユーゴスラビア人の機関長が与作の相棒として
     乗船してきた時、そのことを聞いて見たら....

     彼も「そう思う、特に北部は美人ぞろい」
     と自国女性の美人度を語っていました。

      ユーゴスラビアは多民族国家でしたが、
     日本人には顔の違いは感じません。
     みんな美人です.......しつこいな~与作、な~ぜ?


      
17、エーゲ海、黒海:「・・・」

     どちらも与作は行っておりません。
     黒海のボルボラス海峡は、
     他の事情があって少し知っていますが、
     実際に行ってないので、全く「臭い」がしません。



18、ジブラルタル海峡:「巾着の口」

     地中海という大きな風呂敷からの唯一の出入り口が、
     ジブラルタル海峡ですので、「巾着の口」、
     のイメージがあります。

     海峡周辺の町として、
     アルジェシラス(スペイン)、
     ジブラルタル(イギリス)、
     セウタ(モロッコ内のスペインの飛び地であるが周囲はモロッコ)、
     があり、この三者が微妙な立場で対立しながら安定を保っている。
     歴史を感ずる海峡です。
     詳しくは、「港の臭い」で書くことになるでしょう。

  
     巾着の口.....とイメージするのは他の理由もあります。
     潮の満ち引き、あるいは潮流からのイメージです。

 
         .......ここでちょっと、勉強

     潮の満ち引きは 「月」(太陽もあるけど)、
     の引力ゆえ、ということは誰でもが知っていると思いますが、
     もう少し理解するため、
     次のようにイメージを膨らませてみてください。  

     地球の「海」は、
     とろろイモのような粘性のあるモノと想定します。
     月から一本の腕が伸びて、
     手のヒラでそのとろろイモを掴みとろうとします。
     
     太平洋は広いので、
     手のひら全体でとろろイモを掴めます。 
     それだけ沢山の量を掴めます。
     
     手のひら全体でトロロを掴んで引揚げると、
     周辺のトロロは中央に引きずられて寄ってきますが、
     当然にその量も多くなります。
  
     ですが、例えば日本海になると、
     狭いので、親指と人差し指でしか掴むことができません。
     少なくしか掴めないのです。 

     おまけに周辺のトロロは、
     周囲を塞がれている(対馬海峡、間宮海峡、津軽海峡)ので、
     自由がきかず、中央に引きずられる量も限られて来ます。

     これが、日本海側は潮の満ち引きが少なく、
     太平洋側が多いという現象が起きる理由です。

     翻って「地中海」を見てみます。

     摘むのは、親指と中指、人差し指の三本で掴めそうなので、
     日本海よりましです。  
     
     とは言っても、
     トロロを補給する入り口がジブラルタルという、
     狭いところひとつで塞がれているので、
     トロロの移動はそんなにできません。

     地中海は、潮の満ち引きの差(潮高差といいます)が、
     比較的少ないのは上記の理由からです。
    
     ということで、
     「巾着の口」とイメージしたのは、
     単に形状からだけでなく、船乗りが気にする、
     このような「潮の動き」が制限される、
     という感覚も含まれるからです。


           ..........続いて、余談

     地中海は大きい池なので、
     暖められて水蒸気として蒸発する量もばかになりません。 
     表面の海水が蒸発すると塩分が濃くなり、
     重くなって底に沈みます。

     底に沈んだ重い海水は、
     唯一の出口であるジブラルタル海峡の海底付近を通り、
     大西洋に吐き出されます。
     
     そして、それを穴埋めする海水が、
     大西洋からジブラルタル海峡の海面に近いところを通り、
     地中海に入ります。

     ということで、ジブラルタル海峡の表面流は、
     いつも大西洋から地中海に流れると言われております。

     ただ、日本の瀬戸内海の来島海峡や関門海峡のような、
     海水の流れを経験している、日本人船乗りにとっては、
     それほど気になる潮の流れではありません。

.........

  
続いて、当時のMLの会員から、
次のような「喜望峰」の質問があり、それに返答しています。
その返答をもって喜望峰の記述にします。


19、喜望峰


(質問)

海の色は、場所によって変わるのでしょうか?
私は空の色が 海を染めるのかと思っていましたが、
喜望峰の太平洋と大西洋では、違った感じがしました。
水温、水深、雲の具合でも変わるのでしょう。

(返答)

     海の色(反射する光りの波長)を決める原因は、
     経験から.....

     1、空の色(厚い雲の下の海は影で黒く見える)
     2、海底(さんご礁の貝殻の海は白い)
     3、水深、プランクトン

     なのでしょうが、
     こんなのどんどん書つらねても返答になりませんね。

喜望峰の太平洋と大西洋では、違った感じがしました。

     に感覚として答える方が直接的だと思います。

     喜望峰は常時東から西に流れる海流があります。 
     先に書いたモザンビーク海峡を南下する海流が、
     喜望峰で西に向きを転じ、沿岸を西行するのです。

     一般に海流のない海面では吹送流といって、
     風の向きと同じ方向に海水面の流れができます。

     が、このように海流があって、
     且つ風の向きが逆の場合、
     海面に細かな三角波ができます。

     いわゆる岬、あるいは半島というところは、
     上空の大氣塊に地域的な温度差ができるので、
     風が強く吹きます。


     三角波は垂直に立つので、
     裏と表では光りの反射と影ができます。

     その光りの反射と影を見る方向によれば、
     海の色が変わって見えます。

     海流がある幅で流れる場合、
     その境目で色が違って見えるのは、
     よくこのことが原因します。

     喜望峰を境目にしてインド洋と大西洋では、
     海流の向きも風の向きも違うので、
     三角波のでき方の頻度も当然に違います。

     海の色が違うことを体験されたのは、
     多分この原因であろうと思います。

     また、喜望峰を境にして、
     インド洋は暖流系、大西洋は寒流系の流れになります。
     当然にプランクトンの種類や量も違うと思います。

     このことも海水の色を変化させる一因と思いますが、
     与作は最初に書いた方の理由が色の違いの主因と思います。

     そうですね。
     インド洋と大西洋の海の色が違うことよりも、
     喜望峰沿岸を流れる海流は確かに色が、
     濃く感じた記憶があります。
by yosaku60 | 2015-03-01 08:39 | 日本=船員・船長時代 | Comments(0)
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