バリのある日のある浜、
身体は砂に埋められ、砂からは頭だけ出した「人」がいました。
顔には白い布がかぶされてましたが、遠目でも男性とわかりました。
その男性、死んでいるのか生きているのかもわかりません。
その後方には、4~5人が立っていました。
前方には、3人の男がいて、海に向かってお祈りをしておりました。
その内のひとりは、どうもお坊さんのようでした。
......なんだろう?
......死人へのお祈りだろうか?
近寄ることもためらわれ、少し離れてみていました。
勿論、写真を撮ることなど、不謹慎と思われる雰囲気でした。
......と、
後の人が前に廻り、砂を触りだしたのです。
誰かが、写真を撮っています。
おお! 写真を撮ってもいいんだ。
急いで近寄って、撮った写真がこれです。
白い布と思われたのは、大きなマスクでした。
で、少しの砂が払われると、突然に男がムクリと起き出したんです。
オオ!生きていたんです。
で、お坊さんに手をとられて、海の方に歩き出しました。
波うち際に座った男は、お坊さんに促され沖に向かって手を合わせました。
写真を撮ったあと、デジカメの画面を見せ、知人に尋ねると、
ムルカンと呼ばれる、病気回復のための風習だそうです。
通常は、海岸でお坊さんに引率されて祈るだけですが、
骨の病気など身体の芯にかかわる病気の場合は、砂に埋めるんだそうです。
奇習と書きましたが、バリ人にとっては「普通のこと」のようです。