
バリ島の首都、デンパサールでの、
一番大きな市場「パサールバドゥン」
日本語では、「バドゥン市場」、
には、魔女が住んでいるんです。
左が、そのバドゥン市場。
で、ここに住んでいる魔女....。
初めて彼女と会ったのは、
畑にまく種を買いに来た時でした。
ああ、そうそう、
下の写真は魔女ではありませんヨ。
単なる働き者のおばさんです。
すごい運搬量でしょう!
バドゥン市場に話しを戻しますね。
んで、市場の中ですが、入り口が狭く、中は、真昼であっても薄暗いんです。
通路にしても、身体を横にして歩くほどに狭く曲がりくねっているんです。
まるで迷路になっているんです。
だもんで、カミさんは怖くて中に入れず、外の広場でオレを待つことになりました。
オレは、男(強調しておきます)なので、とりあえず中に入りました。
と、5mも中に入ったでしょうか。

魔女にまとわりつかれてしまったのです。
まとわりつくだけでなく、時にはからんでも来るのです。
で、オレ、目的の種店にたどりつくことができず、
早々にカミさんの待つ広場に逃げ出て来たんです。
それが3年前、それ以来オレ、
バドゥン市場には近寄らないようにしてたんです。
が、がですよ。
どうしても行かなければならない用ができたのです。
ぶどう酒を造るための葡萄を買いたいのです。
でも、もう葡萄の収穫時期が終わりかけているんです。
バドゥン市場でないと、この時期、
葡萄が手に入らないのです。
まあ、そんなことで、意を決して...
行って来ました、昨日。
魔女ですか、やっぱり出ました。
実は、オレ、魔女に会う前に葡萄を売っている店に直行しようと、
その店がどこにあるか、市場の広場で営業している、バナナ売りのおばさんに、
あらかじめ聞いておいたのです。
「葡萄はどこで売っていますか」
「地下の方だよ」
おばさんの耳元で小声で個人的に聞いたつもりですが、
魔女の耳は大きく、その声をどこかで聞いていたのですね。
オレが教えられた地下に入ると、すーと魔女がまとわりついて来たのです。
で、「葡萄を買いたいんだろう、ついて来な」と言うんです。
さすが、魔女......。
で、顔を見ると、目が三角です。
オレ勇気を奮って言いました。
「オレはあんたが嫌いだ」
「あんたがいると値段があがることを知っている」
「オレの前から消えてくれ」
でも、魔女は消えてくれません。
オレの手をとるように先導し、ある店の前で止まりました。
その店の売り子である、やり手婆もやはり目が三角でした。
目から優しさが消えているのは、そういうことばっかりしているからです。
にしても、しようがないので、オレ、聞いてみました。
「1キロ、いくら?」
に、目が三角のやり手婆、魔女とめくばせしながら、
「キロ、9万ルピア」と言うんです。
「高い!!!」
「じゃ、いくらなら買うんだ」
「キロ、1万3千ルピアなら買う」
「なに!それじゃバックロット(倒産)だ」
「そんならいい」
てんで、オレ、魔女と三角目婆を尻目にその場から逃げたのです。
遠くから「4万ルピアでどうだ」との声が聞こえておりました。
てやんで!
もうバリに4年住んでいるオレだ。
だまされるもんか。
と、出口に向かい迷路を小走りました。
目では、葡萄を売っている店を探しながらの逃走でした。
出口にさしかかったところで、一軒の店を見つけました。
売主を見ると、目が優しそうな美人女将です。
「ここだ、このオンナならウソはつかない」
で、近寄ろうとすると、どこから来たのか、くだんの魔女。
すーと、オレと女将の間に割り入って来たんです。
ああ、また魔女にやられる....
オレは、とっさにきびすを返して、出口を目指しました。
で、一旦外の広場に出ました。
魔女も出て来ましたが、オレから10mほど離れてオレを見張っているだけです。
その距離感からして、想像するのですが、
きっと市場の組合から「魔女行為の禁止」を言われているのでしょう。
魔女行為・・・・そうです。
素人のお客を案内して、ぼったくり値段で買わせて、
ぼったくり分を店と魔女で山分けしようとの魂胆なのです。
で、その後ですが、
オレは、広場で魔女がオレの視線から消えるまで、十分に時間を費やしました。
で、魔女があきらめたか、他の場所に移動したのを見計らって、美人女将に直行したんです。
で、「キロ、いくら?」
「1万5千ルピア」
相場だ! やっぱり美人は良い。
いや、順序が逆だ。うそをつかない性格が顔をやさしくしているんだ。
で、5キロくれ、ついでにアンタの名前を教えてくれ、のオレに、
ニョーマンだよ。

オレはヨシてんだ。覚えてくれ。
アタシの名もお忘れでないよ。
オレは美人の名は忘れないヨ。
うまく言うね。
ところで。
なんだ。
1万4千にまからないかい。
そりゃーだめ。
てな馬鹿な会話をして、
買ってきた葡萄5キロ
が右の写真です。
みなさん、バドゥン市場の魔女には、
気をつけてくださいね。
ああ、そうそう、カミさん、もうバリに戻っております。
ちょっとだけ自由だった、オレだけの生活、あっという間に終わってしまいました。
とさ........